負ける前・最中・後
今日は主に食べ物の話を。今さらを通り越して思い出話ですが、5月末に札幌で食べたもの色々。
札幌ドームでは、gurume BINGOツアーというものをやっていて、台紙もいただいたのですが一つもぺたりと出来ませんでした。だって、食べたいもの無かったんだもの。最初から、札幌ドームでは「スパイシーハム勝つ丼」を食べる! と決心して来ていたので、そのプリンスホテルが提供しているらしいお店を探して歩きました。とりあえず席を確保してから。
節電なのかなんなのか、とりあえず節約はしているようで、見ているとどのお店も箸は袋に入っていないし、お弁当のようなものを買っても袋は無いし、飲み物のフタも無いようでした。球場のほとんど全部を見て歩けるのはマツダズームズームと同じような作りだなあと思いながら、1塁側外野の席から反時計回りにぐるり。球場の円周の外側に沿って、1階は主に内野席に、2階は一周まるまる、お店が並んでいます。
1階は通常通りか節電モードか、暗く感じましたが、そんなのどうでも良いと思う光景が広がっていました。食べ物を購入したお客さんが、2階へ行く階段に座り込んでそのまま食べているのです。
なんだこれ、行儀悪い。
正直そう思いました。これ、北海道の文化なのだろうか? 床にお店を広げてグッズを販売している一角があり、そういうのも含めて邪魔にならないように気を遣いながら地べたに座るのが、北海道スタイルなのか? わりと本気でそう感じました。
しかし、たぶん、これは文化ではなく、球場の事情なのだろうと15分後くらいに察しました。事情とは、前述した節約志向がまずひとつ。飲み物にフタが無く、食べ物にもフタが無く、箸やスプーンは袋に入っていない。これでは買ったその場で食べるのが自然な流れでしょう。そのまま食べ物を持った状態で、あちこちのお土産屋さんを覗いたりトイレに寄ったりはまず出来ません。恐らくそれで席へ食べ物を持ち運ばずに、仕方なく階段を椅子とテーブル代わりに手早く食べるのです。
それから、お高いシートは分かりませんが、一般もビジターも外野席は通路も狭く、席と席の間も狭く、食事するには窮屈だからです。椅子もあまり大きくないし、前の席とのスペースがとても狭い。かろうじて飲み物を置くホルダーはありましたが、のんびり食事という感じではありません。ナゴヤは内野に近いあたりとバックスクリーンの側では椅子が違いました(跳ね上げ式とそうでないの)が、席そのものはゆったりとした設計でした。通路間の席の数も、ナゴヤのほうが少ないし、足下も広かったです。
しかし、札幌ドームは一人当たりのスペースが狭いのです。小柄な私の膝が前の席に当たりそうなくらいですから、中肉中背の男性では間違いなくぶつかるでしょう。そこで買って来た食べ物を、しかも跳ね上げ式の椅子で、フタも無いのに荷物を整理したりゴミ袋を自前で用意したりしながら食べるのは面倒です。それが分かっていたら、そりゃあ階段で食っちまうわな。ゴミも近くのゴミ箱に捨てれば良いし。
階段に座り込んでの球場グルメは、やっぱり札幌ドームの文化のような気がしてきました。道民の文化ではないのだろうけど、ドーム内で育まれた文化のように感じます。
と言うわけで、何も知らない私はスパイシーハム勝つ丼をビジター席で隣のひとに肘をぶつけては謝りながらなんとか食べていたわけですが、周囲はちょっとしたつまみ以外は席に持って来ていませんでした。だよねー。
ハム勝つ丼は美味しかったですよ。球場の食べ物はジャンクなものが多いけれど、入れ物は安っぽいものの中身は普通でした。ちょっと味が濃い以外は、量にも値段にも文句無し。
球場グルメはもうひとつ楽しみにしていたものがありまして、それはシャウエッセンのソーセージを使用したホットドッグです。3階の、ホットドックパークという売店で販売されています。シャウエッセンロングドッグ 道産ゴーダチーズ、400円でこのボリューム、箱ティッシュの3分の2くらいはありますかね、パンも美味しいしソーセージも美味しいし、食べごたえがありました。
北海道の物価を良く知らないのですが、球場ではたいていのものがかなり割高で販売されていることを考慮すると、400円でこの味でこの量、満足の出来る商品です。これは当たりだった。るるぶ北海道の球場グルメのオススメを信じて良かったと思いました。
さて、稲葉に打たれて負けた後、それでも試合後の花火や新庄のホームスチールの写真を楽しんで地下鉄へ向かいました。地下鉄までが遠く、雨が降っていたので少々うんざりしました。29日に歩いてみたらたいした距離では無かったので、負け試合の後、暗い中大勢でゆっくりしか歩けなくて、道も知らず周囲に着いて行くだけだったために遠く感じたようです。ナゴヤほど近くはないですが、神宮から信濃町よりはずっと近いです。あれはたまに迷子になって千駄ヶ谷に着いてしまう。地下鉄のつもりがJRじゃないかと落ち込みます。私だけですかね。いや別にどっちでも帰宅にはまったく困りませんが、思ったところに着かないのはちょっと悲しい。
地下鉄は豊水すすきので降りてまずはホテルへ。途中でテレビ塔が目に入りました。私は、ああテレビ塔、だいぶ近いんだなと思っただけでしたが、彼氏は「おお、テレビ塔っぽいのがあるぞ」と楽しげな声をあげ、本物だと思っていませんでした。
私は混雑した地下鉄に酔ってしまっていたので、チェックインの手続きも彼に任せてふらふらと部屋へ。それから彼がフロントでもらった地図を確認して「えーっ! あれがほんとにテレビ塔なのか! 明日の観光がひとつ既に終わってしまったではないか!」と嘆くのをうとうとしながら聞きました。ホテル予約したのお前だろうが。
疲れていたので寝てしまい、21時過ぎからやっとこさすすきのへ繰り出しました。札幌は何度か行ったことがあるのに、すすきのは初めてです。寝てしまったのがもったいない。2008年に両親と北海道へ行く際、素敵なお姉様に教えていただいたオススメのお店には夜に出歩くのを好まない両親のおかげで行かなかったので、今回はわくわくでした。
まずは腹ごしらえ、ということで夜空のジンギスカンへ。ユッケなご時世で腰の引けた私と彼氏は、夜空の味漬けジンギスカンを選んでみました。何をどうして良いのか心底分からないので、店員の若い女性にあなたのオススメや定番を適当に! とまさに適当な注文をしたところ、味付けジンギスカンとエゾシカになりました。夕方まで球場で多少飲み食いしていたため、そんなに空腹ではなく1人前ずつです。それから〆はうどんかご飯と言うので、うどんを。彼はさんざん、サッポロクラシックを飲んでいたくせにまたビールでした。そして私には肝臓がどうとか言って飲ませてくれません。もう治ったっつーの肝臓は。
ジンギスカン、ふたりとも初めて食べましたが、くせのある肉を想像していたのに全然でした。ものすごく普通。もちろん、牛や豚とはまったく違うのですが、だからどうと言うことも無く。味付けだからかなあ。生ラムだともっと全然感想が違うのかもしれません。エゾシカもあっさりしていて気に入りました。
「奈良の鹿はいじめてもいけないのにエゾシカは食べても良いなんて不公平だな」
「いやエゾシカだっていじめたらダメだろ」
「そうなのかな、あ、撃ちたいの? もしかして」
「撃たないよ。動く標的って興味持てない」
「そうか、僕もなるべく動くようにしよう」
「そうだね。良いダイエットになるだろうよ」
「……」
害獣とされるエゾシカと、天然記念物なだけに退治するわけにいかない奈良の鹿、どっちが扱い易いかというと前者のような。奈良の鹿も不憫だな。名誉職を与えられた窓際族みたいになってしまいそう。
エゾシカ美味しい。また食べたいものです。次回は生ラムを試してみたい。でも生肉は危ないのよね……管理がずさんで死人を出した某社はあっという間に解散してしまい、ああ、企業ってこうよね、信用を失うことがほんと命取りなのよね(我が社も気をつけねば)と思いました。管理がずさんで死人を出している某社は節電しろとか電気代上げるとか利用者に更なる負担を求めて相変わらずの殿様商売しているけど。
その後はアイス。HOKKAIDO ミルク村 SAPPORO本店へ行きました。23時ラストオーダーで24時まで営業しています。我々は22時半ごろ到着しましたが、まだだいぶ混雑していました。こんな夜中に? と思いましたが、おめーもだろと自己ツッコミ。
お店の中は、ここも節電か? どいつもこいつも節電節電でまったくこんなに暗くして! と思いましたが、よく考えなくてもここはバーという扱いなので暗くても当たり前なのですね。なんでバーはあんなに暗いんだ、弱視のひとは困っているだろうに、ユニバーサルデザインとか何も考えてないよな階段があって地下に入るところも多いし、入口があんなに狭くて避難経路はきちんと確保されているのだろうかと、私はバーについてあまり心証が良くないので、このアイスのお店も入るなりちょっと不機嫌になりました。
しかし彼氏は独特の雰囲気と入口の可愛い動物クッキーに心惹かれてみたり、上機嫌のようでした。私が行きたがって彼が着いて来て、それで彼がご機嫌ならまあ良いかと、案内された狭いテーブルに、これまた大戸屋レベルの狭さだなと眉をひそめつつ着席しました。この辺りまでは、失敗したとは思わないがすんごく楽しい感じでも無い、という評価です。
隣の席の若い男女、恋人同士ではなく片方が既婚者で、後輩の女子社員をちょっと女の子が喜びそうなお店に連れて来たという感じで、蘊蓄を垂れ流してみたり仕事のアドバイスを偉そうにしてみたり、それ観察しているのも面白いような不愉快のような中、わりと腰の低くない店員がオーダーを取りに来まして、ここでも私は良く分からんからオススメで! と適当な注文をしました。
このアイスを食べられるバーは、アイスクリームにリキュールを少量ずつかけて味わうことが出来ます。カクテルアイスクリームバーと呼ぶようです。とりあえずセットメニューから、Aセットのアイスクリーム・リキュール2種・クレープとヨーグルト+コーヒーを2人前。頼んでから、片方をBセットのアイスクリーム・リキュール3種+コーヒーにしたほうが種類を多く楽しめたはずだと気付きましたが、後の祭りというやつです。浅慮でした。
何を選んだか忘れましたが、彼は明らかにウキウキな感じでゴディバと巨峰だったかな……白ワインと、何かをとにかく選びました。実は私はもうすでにだいぶ眠かったのです。
紅茶のリキュールはサービスだと、小さな札をつけられた少量のリキュールが入っているやたらと小さなワイングラス———5mlビーカーよりは大きいが10mlは無さそうなサイズ———とマグカップに入ったアイスクリームが運ばれ、食べ方を一通りレクチャーされてから、最初の一口には驚きました。えー何このアイス。ちょっと柔らかすぎるし、クリームよりもシャーベット的な舌触り。味は恐らくバニラだろうけれどまったく強くないし、いかにも乳製品ですというような濃厚さが無い。特徴という特徴は感じられず、あっさりしていてスーパーカップだってもうちょっと味があるぜ。思わず彼と目と目で会話してしまいました。未確認ですが、恐らく彼も「どっちかというと美味しくない部類だぞこのアイス」という顔をしていました。
正しい食べ方を指導する店員さんの前で「アイスそのものは美味しくない」とはさすがに言えず、えーーーーと思いながら指示されるままにリキュールを垂らして一口。
ごめんさっきのアイスの評価、間違ってました。
なるほどリキュールと一緒に食べたときに美味しいように、アイスそのものの味は抑えてあるのね。考えれば当然ですが、リキュールを垂らすだけで劇的に味を変えるアイスにたまげました。彼も大喜び。きみは肝臓が悪いから控えめにしなさいと私のぶんのリキュールを使いまくり。私の肝臓は治った(はずだ)し、お前のメタボのほうが深刻だろうといじめつつ、アイス終了。そしたらすかさず店員さんが「おかわりは?」って。おかわりあるのか。最初に説明あったっけ?
おかわりは大盛りでも良いとのことでしたが、私は眠く、彼もだいぶお腹いっぱいだったようなので二人とも「普通で」と頼みました。ええ、おかわり、しましたとも。
ほとんど閉店ギリギリまで過ごし、最後に可愛い動物のクッキーをいただいてお店を出ました。これで1390円なら安いくらいですな。最後まで居座っていたのは、彼がカエルのクッキー、どこから食べようか悩みに悩んでいたからです。結局一口で食べてました。
24時近くなって宿へ戻り、明日どうするーと喋っているうちにいつの間にか寝ていましたので、早朝3時くらいに風呂に入り2度寝しました。10時過ぎればどこかお店も開くだろうと、観光しながら札幌駅まで徒歩で行くことにして、のんびり散歩。昨夜のうちに発見してしまっていたテレビ塔で、一応観光客らしくお土産を買ったりしました。上には上がってないのですけど。そこから時計台までまた徒歩。観光地をうろついているのでしょうがないのですが、恐らく昨日同じ場所にいたのであろう、赤いグッズに身を固めた人々が、あちこちにおりました。
札幌駅でお土産屋さんを冷やかしつつ、少々足を伸ばして北大まで。ここでも赤いグッズがちらほら目に入ります。そのちょっと前に学会で北大行ってたんだよねーと後輩から聞いた、2004年の台風で倒れたというポプラ並木を確認してから、北大の食堂へ行きました。11時開店で、やっと朝食です。
ここもるるぶにメニューが紹介されていたものがあるのですが、私は普段通りの食事とほとんど同じ、米飯・みそ汁・青菜のおひたし+小魚・焼き魚というメニューでした。レシートにはカロリーと、塩が何グラムだの細かい表記があります。私は291kcal。しかし、彼は名物と紹介されていたササミチーズカツと、新商品だかなんだかの豚肉丼みたいなやつと大きめの豆腐、サラダを頼んでカロリーは900近く。これだけを見ても彼と私の体型の違いに納得がいくというものです。
球場でさんざんやったんですけれども、ガイドブックに書いてあったからってそれ全部食べてみるって、馬鹿の一つ覚えみたいで間抜けだよなあ。ぱっと見で食べてみたいもの食べれば良いじゃん。でも、美味しいよって紹介されていると、やっぱり食べたくなってしまうのです。そんでお腹いっぱいになるので、その他の目についたものを食べられない。
悪循環だなあ。やはり同じところを何回か訪問しないとダメなのかもしれません。尾道ラーメンと讃岐うどんは、店なんか全然調べずに行って目についたところで食べましたが、譲ってそこまでって感じ。好奇心はあるんだけど冒険は苦手なので。ドラクエ以外は。
食事の後、外に出たら雨が降っていて、大通公園を散歩するというプランにすっかり嫌気がさしたらしく、彼が行くとこ無いなら野球観ると言い出したため、再び札幌ドームへ。食べたばかりなので球場グルメにはあまり気持ちが向かず、そのくせアイスクリームに興味を示し、ビールを飲む彼。いやほんと太るひとは食生活が違う。そんなに食うならスクワット応援しろ。
飛行機にギリギリは嫌なので、8回あたりで途中退出した後、空港での夕食は彼が悩みに悩んだ結果札幌ラーメンになりました。結局スープカレーは食べていません。スープカレーと札幌ラーメンで悩みまくり、両方食べようかとまで言い出すので呆れました。どちらかがラーメン、どちらかがスープカレーで解決のはずが、ラーメンは醤油と塩を試したいんですって。観光客向けなのは分かっているけどコーン入りが気になるとか。腹がふくれることを第一義とする私とは考え方がまるで違います。
お土産は、とりあえずラーメンとスープカレー、六花亭のバターサンドと、同僚から指定のあったバームクーヘン、別の同僚から指定のあったジャガピリカ、ジャガイモから作ったおかき、そんなところです。彼氏は、北海道へ行ったとバレると困るからと、羽田に着いてからお台場土産を買っていました。なんでバレると困るのかちっとも分かりません。
羽田に着いて横浜行きのバスに乗ったところで彼からメールが来ました。「バターサンド買えば良かった。美味しそう」
デパートの北海道物産展をチェックしまくれ、と返事しておきました。
そのうちまた北海道来たいですね。野球はとりあえずもう良いので、まだ行ったことの無い十勝や宗谷、帯広に行ってみたいです。いやあの、負け惜しみじゃないです。悔しいけど、稲葉、かっこいいんだもん。武田勝、好きな投球するんだもん。