割引美人

妄想と事実を区別せず遠慮なく垂れ流し

技量審査場所ってさ

2011.07.09 Saturday[23:40] 相撲 - -

 またしても思い出話になりそうな、5月技量審査場所について。
 5月技量審査場所は、NHKではなく自前の配信だったが故に、テレビ中継の無い時間にやっている前相撲、ニュースやハイライトなどで普段はほとんど観られない、翌日の取組披露、弓取り、なんと神送りの儀式までが配信されました。中継が無くネット配信であるということ以上に、土俵で行われる取組以外のものをそのまま伝えることが出来た点が、画期的でした。
 公式配信では、十両以上ではどすこいFMのメンバーによる解説がされていましたが、ニコニコ生放送ではそれもなく、結びの一番までずっと、解説もリプレイも無いまるで現地にいるような観戦が出来ました。その上で、同時に生放送を観ているひとたちとコメントで盛り上がれるという、かなりお得な状態だったと思います。
 行司の口上、弓取り、そして神送り。NHKの大相撲中継では、ましてやダイジェストやニュースだけでは伝わらない、確かに神事だよねという姿がニコ生の、それこそ垂れ流しの状態から伝わったのではないでしょうか。
 あの、ユルさ。ものすごい熱戦だったのに、そんな余韻はものともせず、次の力士を淡々と呼ぶ呼出。実は個性たっぷりの行司の皆さん。シンクロ率100%とコメントされていた、土俵を掃く二人の呼出の動き。若い行司や呼出の声は裏返りかすれ、行司よりも小柄で貧弱な下位力士、とにかく呼出は良く働く。朝8時から18時まで、たぶん一番長いのは土俵を掃いている時間です。相撲とは、土俵を掃くことではないかと思うほどです。という主旨のことを高橋秀実氏が著書『おすもうさん』で述べていました。同感です。
 とはいえ、人体は60%が水分だから、人間は水ね! ということにならないのと同じで、相撲はやっぱり取組がメインでしょう。しかしながらそれでも、掃いて清めるために取組をやっているんじゃないかと、ちらと疑ってしまうほどひたすら土俵は掃かれまくっています。
 途中で私は、これ、観客必要なの? と思ってしまいました。一日中、客がいようがいまいが、ずっと同じことを繰り返していて、土俵上から観客へのパフォーマンスは主に、いわゆる選手であるところの力士ではなく、行司から行われます。明日も来てくれと観客に告げるのは行司の役目であり、力士は優勝インタビューの時に「来場所もよろしく」とアピールするのみです。毎日毎日「明日も賑々しくご来場お待ち申し上げまする」と頭を下げるのは力士ではないのです。力士は本当に相撲を取っているだけ。土俵や対戦相手、親方には頭を下げても、観客に頭を下げないのが力士。周囲を気にせずひたすら土俵を掃き、次の力士を呼び出し、審判を務める親方の世話をし、マイクや座布団を運んだり片付けたり、なんだか超越しているようにも見える呼出さんたち。
 観客に語りかけているのは、行司と、場内アナウンスだけですね。物言いがついたときの説明さえ、取組をした本人たちへの説明がメインのように感じられます。
 あれはあれでなかなかに完成された世界です。ひよの山の着ぐるみがいたり、どすこいFMで賞品付クイズがあったり、地下でちゃんこ食えたり、しますけれども、それは国技館の周りの部分であってあの会場に入り込んだら別世界です。
 以前大相撲秋場所6日目で私は国技館はテーマパークだと申しましたが、いやもうほんとに。テーマパークです。

 5年程前、何かの雑誌か特集で、期待の若手幕下力士として紹介されていた富士東(当時は渋谷)が、十両8枚目で勝ち越しました。9勝です。立派なものです。同列で扱われていた稀勢の里はもうとっくに三役と、だいぶ水をあけられましたが、幕下でもたついた分、十両を駆け抜けて上位を脅かす存在になってくれるのではないかと期待しています。幕下上位で勝てない日々が続いた時は、関取になってくれれば万万歳だと思ったこともあるのに、勝手だなあと我ながら思います。
 こうやって若手の出世を見守っていると、ジャニーズジュニアが好きというひとの気持ちが分かるような気もします。

 などなど、相撲そのものはもうこれでもかってほど楽しみまくったのですが、じゃあ八百長問題はどうなったの? と言うと、正直、まったく解決していないと思います。証拠のあがった(とされる)メンツを外して無料で相撲やって、そんで番付組み直して、それでハイ禊は終了ですって、んなわけねーだろ!
 でも相撲協会はそれでおしまいっぽい雰囲気です。2011年5月27日の時点でデイリーには「八百長問題"終止符"名古屋場所正常開催へ」という記事が出ました。おいおい"終止符"かよ、本場所再開の条件としてきた全容解明、処分、再発防止策の『3点セット』のうち、やったのは処分だけじゃねーか。私はツッコミまくりましたが、文科省からも「まあよかろう」的な返事が参りまして、祝! 名古屋場所開催と相成りました。どんだけ茶番なんだか。
 力士を傷つけただけじゃないですか。本当に八百長をやってなかったらしい面々の誇りを傷つけ、仲間内でお互いを売るかどうか疑心暗鬼、場所の中止による士気の低下、やってようがやってまいが今後世間から色眼鏡で見られるストレス。それでもきちんと解明すればそれだけの負担をかけた意味があるでしょうが、結局はナアナアでおしまいです。
 とりあえず中止にしてしまった三月場所———その後大きな地震がありましたので結果として中止で良かったですが———も、あれこれ対策するよりはまず中止にしてしまおうという感じがしました。協会は元力士なのですから中止による力士へのダメージがいかほどなものか、分かっていたはずなのに。もちろん、八百長はとんでもないことだから最もダメージがある方法を取ったとも言えます。調査報告によると処分された力士が考案して始めたものではないのですから、親方だってやってたかもしれないのに親方への処分はどうなってるのか、そこらへんも曖昧なままです。
 3月は中止、5月はデモンストレーション、7月は本番、そういう段取りの時間稼ぎと場繋ぎのために開催されたようにしか思えません。タニマチさんやお茶屋さん、巡業やら何やらで世話になる地方の関係者、あちこちに迷惑をかけて、もう何事も無かったかのように7月場所が開催されようとしています。
 そりゃあ相撲の存在を世間に広めたし、取組内容は面白かったし、ニコニコ生放送も画期的だったし、新しいファンの獲得に繋がったかもしれないし、でも、八百長問題の解決と言う意味では、どんな役に立ったのか、明確には見えてきません。これもまたそのうち、ああそんなのもあったねーと言われるだけなのかと思うと、ほんとにいったいなんだったのだろうと、疑問でいっぱいです。ほんとに単なる体裁だけのパフォーマンスだったのなら切なすぎます。

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