割引美人

妄想と事実を区別せず遠慮なく垂れ流し

「いざ」が来なきゃ良い、わけではなく

2011.06.25 Saturday[23:02] 仕事 - -

「NIKKEI BUSINESS」の2011.06.06、時事深層というコーナーに、サッシの不正によりビル建築が立ち行かなくなるかもしれないという記事が載っていました。概要は、2011年3月初旬に主要企業が販売するアルミ樹脂製複合サッシが国の決めた耐火基準を満たしていないことが発覚し、再検査等の対応には7000年かかる計算である、これを真面目にやっていると現在着工している現場も止まってしまう可能性がある、この問題は法令や制度が曖昧であることも一因である、そんなところです。
 最初からちゃんとしたものを作っていればそれで済む話ではありますが、2000年に建築基準法が改正され、その後あれやらこれやらで防火設備の検査基準も途中で変わっているので、色々と混乱した挙げ句新しい基準に合わないものが出回ってしまったわけです。たいていの場合、コスト削減のために基準ギリギリで設定しますから、基準や検査方法が変わればカバーしきれない部分が出て来てしまいます。
 なるべく低いコストで作って、他社よりちょっと低いお値段を設定する。もしくは、他社より性能が良いですよって泊を付けて少しだけ高く売る。どこがギリギリかを知っていれば調整もしやすいものです。これも工夫。アクセサリー代わりに使うような華奢な腕時計に10気圧防水が要るか? 要らないよね? みたいな。
 ただ、住宅エコポイントで断熱材が品薄になったり、法令が変わったりなんだりで、結局わりを食うのはエンドユーザです。もちろん、業者も、儲かるはずのところで儲からなかったり色々損はありますけれども、実際に住んだり利用したりするわけじゃないので。納期が遅れても、リコールでも、一般住宅やホテルなどずっとそこに関わっていなければならないエンドユーザほどの不利益はありません。今回のサッシ不正にしても、検査制度に問題があったという面もあるので、もしかしたら業者には多少の救済があるかもしれないくらいです。
 耐火なんて、性能が悪ければ例えばお金で補償があってもまったく効果が無いのに、不安は解消されず、法令が、検査機関がとたぶん責任を押し付けあって終わりでしょう。世の中そんなものと言えばそのんなものかもしれませんが、売り物を間違えちゃいけない。窓がついてりゃ良いのではなくて、いざというときの安心を、これそのものはテストしていないけれど性能を発揮出来る設定で作っていますよという信用で商売しているわけですから。

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